【特別講演】医学部合格の、その先へ。女性医師として働くということ――代官山MEDICAL卒業生が語る、医師の仕事・キャリア・結婚・出産

医学部合格はゴールではない。その先にある「医師としての人生」を考える

2026年10月17日、代官山MEDICALでは、本校の卒業生であり、現在は日本医科大学武蔵小杉病院で呼吸器外科医として活躍されている服部愛(はっとり まな)先生をお招きし、特別講演会を開催しました。

今回の講演テーマは、

「医学部合格の、その先へ。― 女性医師として働くということ ―」

医学部受験に向けて日々努力を重ねている生徒たちにとって、医学部合格は大きな目標です。

しかし、医学部に合格した後、どのような学生生活を送り、どのように医師としてのキャリアを築いていくのか。そして、結婚や出産、育児と仕事をどのように両立していくのか。

こうした「合格の先にある人生」について、具体的に考える機会は決して多くありません。

今回、服部先生には、医学部受験時代の経験から、医学生生活、研修医時代、呼吸器外科医としての現在の仕事、さらには結婚・出産・育児まで、ご自身の経験を率直にお話しいただきました。

医学部を目指す生徒たちにとって、将来の自分の姿をより具体的に思い描くことのできる、大変有意義な時間となりました。

目次

医学部を卒業してからが、本当のスタート

服部先生は、代官山MEDICALを卒業後、日本医科大学医学部に進学されました。

現在は医師3年目。日本医科大学武蔵小杉病院の呼吸器外科に勤務されています。

医学部は6年間。その後、医師国家試験に合格すると、原則として2年間の初期臨床研修を経て、専門とする診療科の研修へと進みます。

医師になるまでの道のりは長く、医師免許を取得してからも学び続ける必要があります。

服部先生のお話から伝わってきたのは、医師という仕事は、資格を取得した時点で完成するものではなく、経験を積み重ねながら成長し続ける職業であるということです。

医学部受験の段階では、どうしても入試の難易度や偏差値、合格可能性に意識が向きがちです。

しかし、その先には6年間の医学教育があり、さらに医師としての長いキャリアが続いています。

今回の講演は、生徒たちが「医学部に入ること」だけでなく、「どのような医師になりたいのか」を考えるきっかけにもなりました。

なぜ呼吸器外科を選んだのか――命と向き合う仕事への思い

現在、服部先生が専門としているのは呼吸器外科です。

呼吸器外科では、肺がんをはじめとする胸部の疾患に対して、手術による治療を行います。

服部先生は、診療科を選ぶ際、手術に携わりたいという思いに加え、がん治療という患者さんの命に深く関わる医療に魅力を感じたことをお話しくださいました。

また、医師として長く働き続けることを見据え、仕事内容だけでなく、将来の生活とのバランスについても考えたそうです。

医学部を目指している段階では、「外科医になりたい」「小児科医になりたい」といった漠然とした希望を持っている生徒もいるでしょう。

しかし、実際の診療科選択では、仕事へのやりがい、必要とされる技術、勤務形態、そして自分自身の人生設計など、さまざまな要素を考えることになります。

自分が何を大切にして働きたいのか。

服部先生のお話は、医師としての専門分野を選ぶことが、人生の選択にもつながっていると教えてくれました。

週4日は手術室へ。現役の外科医のリアルな日常

今回の講演で、生徒たちが特に興味深く耳を傾けていたテーマの一つが、医師の実際の働き方です。

服部先生は現在、週4日ほど手術に携わっているそうです。

外科医の仕事は、手術室で手術を行うことだけではありません。

手術前の準備、患者さんの状態の確認、術後の管理、診療記録の作成など、さまざまな業務があります。

また、手術は必ずしも予定どおりの時間に終了するとは限りません。

患者さんの状態や手術の進行によっては、勤務時間が延びることもあります。

そのような環境の中で、服部先生は一つひとつの業務に優先順位をつけ、限られた時間を有効に使うことを意識されているといいます。

医師という職業には、大きなやりがいがある一方で、責任の重さや時間的な制約もあります。

今回の講演では、華やかなイメージだけではわからない、医療現場の現実についても知ることができました。

女性医師として、結婚・出産・育児とどう向き合うか

今回の講演の大きなテーマとなったのが、女性医師としてのキャリアとライフイベントの両立です。

服部先生は、初期臨床研修中に同級生の医師と結婚し、研修医2年目に出産を経験されています。

現在は1歳半のお子さんを育てながら、呼吸器外科医として勤務されています。

医学部は6年間という長い課程であり、卒業後も初期研修や専門研修が続きます。

そのため、結婚や出産を考える際、「いつが適切なタイミングなのか」という悩みが生じることもあります。

服部先生は、医師として十分な経験を積んでから結婚・出産を考えようとすると、希望する時期との兼ね合いが難しくなる場合もあることを、ご自身の経験を交えてお話しくださいました。

もちろん、結婚や出産を希望するかどうか、いつ希望するかは、一人ひとり異なります。

大切なのは、医師としてのキャリアと自分自身の人生の両方を見据え、自分に合った選択を考えていくことではないでしょうか。

医学部受験生にとって、医師として働く未来を考えることはあっても、その先の家庭生活まで具体的に想像する機会は多くありません。

今回の講演は、特に女性の受験生にとって、将来の選択肢について考える貴重な機会となりました。

仕事と育児の両立を支えるのは、時間管理と周囲の協力

服部先生は、仕事と育児を両立するために、生活環境そのものを工夫されています。

例えば、病院、自宅、保育園をできるだけ近い場所にまとめ、移動時間を最小限に抑えているそうです。

朝はお子さんを保育園に預けてから病院へ向かい、日中は診療や手術に従事。夕方にはお迎えに行き、帰宅後は育児や家事に取り組みます。

さらに、必要に応じて夜間に仕事や勉強の時間を確保することもあるといいます。

その生活を支えているのが、ご主人やご家族、そして職場の理解と協力です。

手術中は、急に保育園から連絡があっても、すぐに対応できるとは限りません。

そのため、あらかじめ家族で役割を分担し、万が一のときにも対応できる体制を整えているそうです。

また、勤務先を選ぶ際にも、家庭の状況や希望する働き方について事前に相談し、理解を得られる環境を大切にされていました。

ここで印象的だったのは、仕事と育児の両立が、本人の努力だけで成り立っているわけではないということです。

家族の協力、職場の理解、そして生活環境の工夫。

さまざまな支えがあってこそ、医師としての仕事と家庭生活を続けることができるのだと感じました。

出産後の復帰と、女性医師が直面する課題

服部先生は、出産後、比較的早い時期に医師としての仕事に復帰された経験についてもお話しくださいました。

外科医として技術を身につけていく時期であり、できるだけ長いブランクをつくらずに働き続けたいという思いがあったそうです。

一方で、こうした働き方がすべての女性医師にとって最適というわけではありません。

出産後の体調や家庭環境、本人の希望によって、必要な休業期間や復帰のタイミングは異なります。

講演では、妊娠中の業務への配慮や、女性医師が安心して働き続けるための職場環境についても話題になりました。

医師という職業は、患者さんの健康を守る仕事です。

だからこそ、医師自身も健康を大切にしながら、長く働き続けられる環境が必要であるという視点は、これから医師を目指す生徒たちにも知っておいてほしいことです。

医学部での勉強は、受験勉強の延長線上にある

講演では、医学部での勉強や学生生活についてもお話しいただきました。

医学部では、基礎医学から臨床医学まで、膨大な知識を身につける必要があります。

医師国家試験に向けた学習も含め、継続的に勉強する習慣が欠かせません。

服部先生は、日々の勉強を習慣化し、やるべきことを着実に積み重ねる大切さを語ってくださいました。

これは、医学部受験にも通じる考え方です。

医学部合格を目指す生徒にとって、毎日の学習は時に単調で、成果がすぐに見えないこともあるでしょう。

しかし、医学部に進学してからも、医師になってからも、学び続ける姿勢は求められます。

受験勉強を通じて身につけた学習習慣は、医学部合格後にも生きてくる。

服部先生のお話からは、そのことが強く伝わってきました。

部活動で培った体力や人間関係も、医師としての財産に

もう一つ興味深かったのが、部活動の経験についてのお話です。

服部先生は、学生時代にバレーボール部で活動されていました。

部活動を通じて培った体力や、先輩・後輩との関わり方、集団の中で自分の役割を果たす経験などが、医師として働く現在にも役立っているといいます。

医療は、一人の医師だけで完結するものではありません。

医師、看護師、その他の医療スタッフが連携し、患者さんの治療にあたります。

そのため、医学的な知識や技術だけでなく、周囲と協力する力や、信頼関係を築く力も重要になります。

勉強だけでは得られない経験が、将来の医師としての成長につながることもあるのです。

「医師になってからも勉強は続く」という現実

服部先生のお話の中では、医師になってからの勉強についても触れられました。

医療は日々進歩しており、新しい治療法や技術を学び続ける必要があります。

また、学会発表や症例の検討など、日常診療以外にも取り組むべきことがあります。

特に若手医師の時期は、日々の診療と並行して多くのことを学ぶ必要があり、時間の使い方が大きな課題になるそうです。

医学部受験生の中には、「大学に合格すれば、今ほど勉強しなくてもよくなる」と考えている人もいるかもしれません。

しかし、医師を目指す道では、学びが終わることはありません。

それは決して負担だけを意味するものではなく、学んだことが患者さんの治療に直接つながるという、医師ならではのやりがいでもあるのでしょう。

代官山MEDICALの生徒たちへ――目の前の努力が、未来につながる

講演の終盤には、これから医学部を目指す生徒たちに向けて、メッセージをいただきました。

服部先生が大切にされているのは、目の前の課題に向き合い、日々の努力を積み重ねることです。

医学部受験は、長い道のりです。

模試の結果に一喜一憂したり、思うように成績が伸びず、不安を感じたりすることもあるでしょう。

しかし、医師になってからも、日々の課題に向き合い、知識や技術を積み重ねていく姿勢が求められます。

受験勉強で身につけるのは、単なる知識だけではありません。

自分で計画を立てる力、粘り強く取り組む力、限られた時間を有効に使う力。

その一つひとつが、将来の医学生生活、そして医師としての仕事にもつながっていきます。

現在、呼吸器外科医として活躍されている服部先生も、かつては代官山MEDICALで医学部合格を目指して勉強していた一人です。

生徒たちにとって、同じ場所で学んだ先輩が、今まさに医療の現場で活躍しているという事実は、大きな励みになったのではないでしょうか。

医学部合格の、その先へ。

代官山MEDICALでは、医学部合格を目指す生徒たちの学習を日々サポートしています。

しかし、私たちが願っているのは、生徒たちが医学部に合格することだけではありません。

その先で医師として成長し、患者さんや社会に貢献しながら、自分らしい人生を歩んでいってほしいと考えています。

今回の服部先生の講演は、まさにその「医学部合格の先」を考える時間となりました。

医師としてのやりがいと責任。

専門分野を選ぶことの難しさと面白さ。

結婚・出産・育児とキャリアを両立するための工夫。

そして、どのような道を選んだとしても、学び続ける姿勢が大切であるということ。

現役医師だからこそ語ることのできる経験の一つひとつが、生徒たちにとって、将来を考えるための貴重な材料になったと思います。

医学部合格は、夢の終着点ではありません。

そこから、医師としての新しい人生が始まります。

代官山MEDICALは、これからも生徒たちが医学部合格を実現し、その先の未来へと進んでいけるよう、全力でサポートしてまいります。

最後になりますが、ご多忙の中、貴重なお時間を割いてご登壇くださった服部愛先生に、心より御礼申し上げます。

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